神経成長しない難病の原因遺伝子発見 九大グループ
2003年04月30日
数万人に1人の割合で生まれ、脳などの神経が成長しない遺伝性疾患、ツェルベガー症候群の原因遺伝子を九州大大学院理学研究院の藤木幸夫教授のグループが見つけ、28日付の英科学誌ネイチャー・セルバイオロジー(電子版)に発表した。羊水中の胎児細胞を利用した出生前診断が可能になるという。
この病気は細胞内のペルオキシソームという小器官が働かず、摂取した脂肪酸をエネルギーに変えられないほか、神経が成長せず、大半は生後1年以内に死亡する。
ペルオキシソームの機能に必要な遺伝子は12個あるとされ、同グループは91年に1個目を見つけていた。今回見つけた「PEX26」で12個すべてが確認された。患者のPEX26は、塩基配列が標準と一つ違うため、つくられる305個のアミノ酸のうち98番目が本来のアルギニンからトリプトファンに変わり、別のたんぱくが作られることがわかった。
細胞内にはミトコンドリアや核など十数種類の小器官があり、役割を分担している。ペルオキシソームは直径が1ミリの1千分の1以下の大きさで、一つの細胞に数百個ある。藤木教授は「PEX26がつくるたんぱくがペルオキシソームでどのように働いているのか、解明を進めたい」と話している。
《朝日新聞社asahi.com 2003年04月30日より引用》