好んで食べる野生動物が原因か SARSで香港大チーム
2003年04月18日
重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスを研究している香港大学の研究チームは、中国・広東地方の人々が好んで食べる野生動物がSARSウイルスの発生源ではないかとみて調べている。18日付の香港紙明報などが報じた。研究チームの袁国勇(ユン・クックヨン)教授(微生物学)はイタチ科の肉食獣、クズリを調べる意向という。
袁教授は「発生源の動物を特定できればワクチンの開発に近づく。広東省で食べられているさまざまな野生動物の血清で抗体を調べたい。これまでのところ、SARS患者のウイルスの遺伝子配列の3割はウシ、ネズミと似ていた」と話す。
広東人は、栄養や精力がつく、と野生動物を食べる食習慣がある。広州の市場では家畜の肉のほか、ウサギ、ネコ、ハト、センザンコウなどが生きたまま売られている。クズリもそうした動物の一つ。
同紙は、SARSが流行した広東省の地方都市の医師の話として、早期の感染者にはこうした食肉用の野生動物を扱う動物商や調理師が多かった、と報じている。
一方、香港政府は18日、前日午後からのSARSによる肺炎で入院した新たな感染者は28人、感染者はのべ1327人と発表。病歴のない42歳男性を含む4人が亡くなり、死者は69人となった。しかし、50人が快復して退院、初めて退院者が新たな入院者を上回った。
《朝日新聞社asahi.com 2003年04月18日より引用》