20030417

人食い菌、市場調査で魚介類16%から検出 6都県調査


2003年04月17日

肝臓が悪い人が感染すると手足の筋肉が急速に壊死(えし)し、死ぬこともある「人食い菌」ビブリオ・ブルニフィカスについて、市販の魚介類の一部を調査し、その16%が汚染されていたという結果を、国立感染症研究所と全国6都県の地方衛生研究所がまとめた。夏季、菌が沿岸部の海水中で増え、水揚げ時に魚のエラなどにつくらしい。17日に福岡市で始まった日本感染症学会で発表する。

宮城、東京、神奈川、静岡、島根、熊本の衛研が、01年6月から02年3月までの10カ月、入手容易なアジとアサリを中心に魚介類を毎月約5品、スーパーで買い、アサリは身、アジはエラの部分でビブリオ・ブルニフィカスの有無を調べた。

計372検体のうち、16%にあたる58検体から菌が見つかった。種類別の汚染率は、アサリ31%、アサリ以外の貝16%、アジ5%、アジ以外の魚2%だった。季節別に見ると、6~9月は3割前後と高く、1、3月は検出されなかった。

菌は十分に加熱すれば死ぬので、アサリのみそ汁やアジの塩焼きで感染する恐れはない。真水に弱いので、調理前に魚を十分水道水で流し洗いするのも効果があるという。感染研感染症情報センターの小坂健主任研究官は「生魚を調理する時、包丁やまな板、手指などに菌が付く可能性がある。使った器具や手を十分洗うなど、衛生の基本を守りましょう」と話す。

ビブリオ・ブルニフィカス感染症は、肝硬変など重い肝臓病の人、大酒飲みの人、重い糖尿病などで抵抗力が弱っている人がかかりやすい。発症すると死亡率は5~7割といわれている。感染研の推計では年200人以上の被害者が出ている。

沖の海水中には菌がごく少ないので、これまで沖で取るアジなどは、汚染がないと思われていた。研究チームは、漁港での水揚げ時、港で取った海水で魚を洗うなどして菌が付いたとみる。滅菌水で洗浄した場合の効果などを現在実験中だ。

 

《朝日新聞社asahi.com 2003年04月17日より引用》

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