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死亡牛の全頭検査、17道県はできず BSE感染源対策


2003年03月29日

4月からの死亡牛全頭検査を先送りする道県

4月からの死亡牛全頭検査を先送りする道県

飼育中に病気や事故で死んだ2歳以上の牛を対象に義務づけられた全頭検査が4月1日から始まるが、17道県で実施できない見込みであることが農水省の調べでわかった。年間に約8万頭と言われる死亡牛の全頭検査は、牛海綿状脳症(BSE)の感染源の解明に欠かせない。しかし受け入れ態勢が整わないという理由で北海道、鹿児島県といった主要産地で先送りされた。

死亡牛が食卓にのることはないが、専門家によると、欧州ではBSEの感染が確認される割合は食肉処理される牛より約20倍も高いという。そのため欧州連合(EU)は01年から死亡牛の検査を始めている。日本では、食肉処理される牛の全頭検査は01年10月から始まったが、感染が確認されたのは6頭だけ。北海道生まれが4頭、群馬、神奈川県がそれぞれ1頭ずつだ。死亡牛については農家の協力を得て01年10月からサンプル調査をしているが、これまでに約4700頭を検査できたに過ぎない。

農水省のBSE疫学検討チーム座長、山内一也東大名誉教授は「汚染の広がりを知るため、一刻も早く死亡牛の全頭検査をするべきだ。多くのデータが出てくれば、感染源の解明にもつながる」と期待している。

BSE対策特別措置法は4月1日から、死亡牛検査を義務づけているが、農水省の照会に4月からの開始に間に合わないと答えたのは17道県。「検査施設や獣医師が足らない」「関係者の協力が得られない」といった理由からだ。

酪農王国の北海道で毎年発生する死亡牛は約4万頭で、全国の半分を占める。だが全頭検査ができるのは来年4月から。今年4月からは約5000頭だけ検査をすることにしている。道酪農畜産課は「検査場を7カ所、新増設するほか、獣医師を相当数、確保しないといけない。準備には来年度いっぱいかかる」と話す。離島が多い鹿児島県も同様の理由で開始が来年4月になるという。

農水省衛生課は「地理的、人的条件で遅れるのはやむを得ない。来年4月には全国で全頭検査ができるようになるだろう」と話している。

 

《朝日新聞社asahi.com 2003年03月29日より引用》

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