幹細胞から骨や筋肉を自在に育てる技術開発 東北大など
2003年03月10日
幹細胞という特殊な細胞をマウスの骨髄から取り出して培養し、骨や筋肉などの細胞に自在に育てる技術を、東北大加齢医学研究所の帯刀(おびなた)益夫教授(細胞生物学)らのチームが開発した。再生医療の研究に役立つと期待される。帯刀教授らはベンチャー企業を設立。培養キットを年内にも販売する。
研究は、科学技術振興事業団(埼玉県川口市)のプロジェクトで、事業団が6日発表した。事業団は、この技術を将来、ヒトの細胞に応用することを検討している。
チームは、アカゲザルの腎臓がん細胞から、細胞が死ななくなることにかかわる遺伝子を採取。この遺伝子をマウスに組み込んで子どもを誕生させ、子どもの骨髄から幹細胞を取りだした。
幹細胞はさまざまな組織や臓器の細胞になり得る能力をもっているとされるが、ふつうは何度か細胞分裂を繰り返すとその能力が衰えるので凍結保存する必要があった。
しかし、チームがつくった幹細胞は、分裂を繰り返しても骨や筋肉になる能力が持続する特徴があった。この幹細胞を使って培養する物質の成分や温度をうまく工夫した結果、ある条件では骨の細胞に、別の場合には筋肉の細胞に――と自在に育てられたという。
事業団は、培養キットは新薬を開発する際の安全性チェックなどにも利用できると説明。ベンチャー企業は2010年に年100億円の売り上げを目指すという。
《朝日新聞社asahi.com 2003年03月10日より引用》