ジャワ原人は「絶滅種」 ヒトのルーツ論争決着へ
2003年02月28日
ジャワ原人(ホモ・エレクトス)は、現代人と同じ新人(ホモ・サピエンス)の直系の祖先ではなく、独自に進化した絶滅種であることが、01年に見つかった頭骨から裏付けられた。約20万年前にアフリカで生まれた新人が世界に広まったとする学説(アフリカ単一起源説)を支持する材料で、ヒトのルーツをめぐる論争に決着がつきそうだ。
インドネシアと共同研究を続けている国立科学博物館の馬場悠男(ひさお)・人類研究部長と東京大学の諏訪元(げん)・助教授らの研究チームが28日発行の米科学誌サイエンスで発表する。
新たな頭骨は、ジャワ島中部のサンブンマチャンで見つかった。数十万年前のものとみられる。
特殊なコンピューター断層撮影(CT)で撮った断面図をもとに、あごの付け根や頭骨の底の特徴などを比較。約100万年前の前期と約20万年前の後期との中間段階にあることが分かり、ジャワ原人が新人とは異なる方向に進化したと結論づけた。
ジャワ原人は、アフリカで誕生した原人が約150万~100万年前までにジャワ島に渡ったとされる。これまで約20体分の頭骨が発見された。前期のはあごの付け根に新人と似た特徴を持つのに、後期はジャワ原人特有な形に変化していた。
新人の起源については、約180万年前にアフリカを出た原人が、各地で独自に進化を遂げて新人になったとする多地域進化説もある。この説は、オーストラリア先住民の頭骨の特徴がジャワ原人と似ていることなどを根拠にしている。
馬場さんは「地理的に孤立していたジャワ原人は独自に進化を遂げて、やがて絶滅した。ホモ・サピエンスとは進化の方向性が異なり、オーストラリア先住民の母体になったとは考えられない」と話している。
《朝日新聞社asahi.com 2003年02月28日より引用》