京大でES細胞作製始まる 日本初
2003年01月31日
心臓や神経、血管などあらゆる臓器や組織の細胞に育つ能力をもつ人の胚(はい)性幹(ES)細胞の作製を始めたと、京都大再生医科学研究所の中辻憲夫教授らが30日発表した。人のES細胞作製は国内初で、できた細胞は今秋以降、国内の研究者に無償で配る。
凍結保存されていた受精卵を27日から解凍し、育てている。順調に育てば、中の細胞を取り出して培養し、ES細胞をつくる。
生命の源の受精卵を壊すため倫理上の問題も指摘されており、文部科学省は指針で、不妊治療で使われなかった受精卵を夫婦の同意で提供してもらうよう定めている。今回は京大の研究者がビデオや文書で夫婦に説明し、考え直す期間を1カ月以上おいて同意を得たという。
文科省が認めた受精卵提供施設3カ所のうち1カ所から複数の夫婦の受精卵が提供されたが、プライバシー保護のためとして、提供数は10個以下としか明らかにされなかった。
ES細胞は、病んだ臓器をよみがえらせる再生医療の要の一つ。米国など6カ国ですでにつくられている。国内での作製で再生医療研究の基盤づくりが進むことになる。
同研究所は30日、インターネットで研究の進展状況の公開も始めた。研究所のホームページからES細胞のページへ入れる。
《朝日新聞社asahi.com 2003年01月31日より引用》