西ナイルウイルス、米野生動物200種以上に感染
2002年12月29日
夏から秋にかけて米国で241人を死なせた西ナイルウイルスが、同国内の野生動物200種以上にも感染していることが分かった。生態系が乱れたり、希少動物が姿を消したりする恐れも出始めている。28日付のワシントン・ポスト紙が1面トップで報じた。
感染が確認されている野生動物は、馬やトナカイといった大型の哺乳(ほにゅう)類から、ウサギなどの小型哺乳類、ペリカンなどの鳥類まで幅広い。中でも鳥がもっとも多く、ハトやカモメ、ペリカンなど約140種を数えている。
人間の場合、主に蚊を介してウイルスが広がるが、動物では、感染動物を別の動物が食べた時にも感染する恐れがある。鳥のふんに混じるウイルスが感染源になっている場合もあるようだ。
米国で初めて西ナイルウイルスが見つかったのは99年。ニューヨークのカラスだった。短期間で急激に感染が広がっていることから、生態系や希少動物への悪影響も懸念され始めた。
スミソニアン環境研究センターの専門家は「すでに数が減っていて絶滅が心配されている動物への打撃は大きいだろう」と心配している。
全米約100カ所の動物園でも、フラミンゴやペンギン、アザラシといった飼育動物が感染。フロリダ州のあるワニ農場は200匹以上のワニを失ったという。
《朝日新聞社asahi.com 2002年12月29日より引用》