サルの体細胞使い、クローン胚作成 滋賀医大で国内初
2002年12月18日
サルの子宮にある羊膜の細胞の核を卵子に移し、「体細胞クローン胚(はい)」を作ることに、滋賀医科大(大津市)の鳥居隆三教授(実験動物学)らのグループが成功した。サルの体細胞を使ってクローン胚を作成したのは国内で初めて。来年1月、ニュージーランドで開かれる国際胚移植学会で発表する。
鳥居教授らは00年から研究を始めた。カニクイザル5匹から採取した卵子73個の核を取り除き、ここに、別のサルから取った羊膜細胞核を移植。電流を流し融合させ、薬物で活性化処理を繰り返したところ、今年6月下旬、5個が胚盤胞期胚(はいばんほうきはい)まで発育した。
鳥居教授は「この胚盤胞期胚から、臓器や組織を形成する能力のある胚性幹細胞(ES細胞)を分化することができれば、肝細胞や骨細胞を作ることもでき、移植など再生医療の発展が期待できる」と話している。
羊膜細胞は、拒絶反応を起こす抗原をほとんど作らないため、鳥居教授は「拒絶反応が少ない細胞を作ることが可能だ」という。
《朝日新聞社asahi.com 2002年12月18日より引用》