BSE牛,国内5頭目
神奈川 4頭との関連解明へ
2002年08月23日
神奈川県伊勢原市の酪農家で飼育されていた乳牛が牛海綿状脳症(BSE,いわゆる狂牛病)であることが22日,わかった。国内でBSEの牛が見つかったのは5月11日以来で,5頭目になる。厚生労働省は23日に専門家会議を開き,正式に確認する。これまで見つかった4頭と誕生時期が近く,えさなどの共通点があるかどうかが,感染経路解明の解明が待たれる。
厚労省などによると,この牛は95年12月5日に生まれた6歳8カ月の雌のホルスタイン。21日に神奈川県内の食肉処理場に搬入され,県食肉衛生検査所での1次検査で陽性の結果が出た。22日に国立感染症研究所で精密な2次検査(確認検査)をした結果,陽性が確認された。
この牛は16日に熱射病,21日には股関節脱臼と診断され、起立不能だった。食肉衛生検査所での生体検査ではBSEを疑われる神経症状などはなかったという。
昨年10月18日から始まった全頭検査では,陰性が確定するまで食肉は流通に回らない仕組みになっている。食肉処理場はすでに消毒され,保管されていた感染牛の食肉は焼却する。農林水産省はこの牛と同じ牧場で飼われていた約50頭の牛の移動を禁止し,えさや飼育状況を調べる。
直接食肉の安全を揺るがすものではない。専門家の間ではBSE感染牛は4頭にとどまらない可能性が指摘されており,5頭目は過去の感染の広がりを知る上でのデータになる。
これまでBSEが確認されたのは昨年9月10日の千葉県白井市の乳牛(北海道佐呂間町生まれ)と,全頭検査開始後の11月21日の北海道猿払村の乳牛と同30日の群馬県宮城村の乳牛,今年5月11日の北海道音別町の乳牛。4頭は96年3~4月の2週間の間に生まれた乳牛の廃用牛で,うち3頭は北海道で飼育されていた。今回の牛も生まれた時期が近いことから,えさなどに共通点があるかどうかが感染経路の解明のかぎになる。
《朝日新聞 2002年08月23日より引用》