「クローンの肉、食べてよし」
全米科学アカデミー報告書
2002年08月21日
米政府の科学問題に関する諮問機関、全米科学アカデミーの専門委員会は20日、体細胞クローンを含む遺伝子操作(GE)動物の安全性について報告書をまとめた。体細胞クローン動物やその子孫の肉や乳などを食用にすることについては「現段階では安全上の問題を示す証拠はない」として、食用可能と結論づけた。
米国では牛や豚など約700匹の体細胞クローン動物が誕生している。食品医薬品局(FDA)が食肉市場などへの流出を当面禁止する一方、同専門委に安全上の検討を諮問。専門家12人が過去の論文などをもとに、食用可能と判断した。この結果、米国で体細胞クローンの利用が解禁される可能性が出てきた。
報告書はまた、薬用成分を含むように遺伝子を組み換えた動物の乳や卵などを実用化することについても、その旨表示されれば、大きな問題はないだろうとした。
一方、GE動物が逃げ出した場合に、環境に与える影響には大きな懸念を示した。とくに魚や昆虫などは、移動と拡散が速く、野生種を脅かしかねないとした。
体細胞クローン牛の肉や乳を食用にする問題では、日本の農水省も今月13日、ネズミに食べさせた実験結果などをもとに「一般牛との差は認められなかった」とする調査結果を発表している。最終的には厚生労働省が安全性を判断する。
《朝日新聞asahi.com 2002年08月21日より引用》