20020219

若返った卵子で子牛誕生へ 高齢牛が遺伝上の母 産院と岩手大実験


2002年02月19日

高齢の雌牛の遺伝情報を継ぐ子牛が、19日にも誕生することが分かった。高齢不妊の治療法を研究中の「加藤レディスクリニック」(東京都新宿区、加藤修院長)が、まず動物実験で、岩手大学農学部と取り組んだ。核を除いた若牛の卵子に、老牛の卵子の核を移植する「卵子若返り法」を用いた。ただ、人への適用には、倫理面や安全性の検討が前提となる。

 実験では、年齢的に妊娠は無理な19歳の老齢牛の卵子の核を、核を除いた2~3歳の若い牛の卵子に移植。体外受精の後、4個の受精卵を昨年5月、別の4頭の若い雌牛にそれぞれ移植した。

このうち2頭が妊娠し、岩手県内の牧場で相次いで出産を迎える。同クリニックによると、この卵子若返り法による出産は、成功すれば世界初という。

高齢になると妊娠の成功率が下がるのは、最近の研究で、卵子の細胞質の老化が主な原因の一つと分かっていた。このため、若い卵子の細胞質を老化した卵子に注入する、などの方法が欧米でも研究されてきた。

生殖医療の進展は著しいが、海外で行われてきた、卵子を第三者から提供してもらって産む方法では、高齢女性は「遺伝上の母」にはなれない。

○人への応用は安全調査必要

日本不妊学会前理事長の森崇英・京都大名誉教授の話 誕生すれば、細胞質の入れ替えで卵子が若返ることの証明になる。日本でも第三者の卵子提供が認められれば、急速に研究が進み、高齢不妊の治療法になるだろう。ただし、若い卵子の細胞質に起因する病気がないかなど、子牛をきちんと追跡して安全性を調べる必要がある。

 

《朝日新聞 2002年02月19日より引用》

 

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