アイガモの力(窓・論説委員室から)
2001年04月12日
アイガモ農法の普及をめざして、福岡県桂川町の古野隆雄さん(50)が「ザ・パワー・オブ・ダック」という英文の本を出版した。アイガモを世界に羽ばたかせるのに、大きな力になりそうだ。
本の仕掛け人は「パーマカルチャー(永続農業)」を提唱するオーストラリア人のビル・モリソンさん(72)。94年にベトナムで知り合い、96年に古野さんを訪問した際に出版を持ちかけた。
パーマカルチャー協会を通して出版された5000部の英語本は、支部組織のある世界100余カ国の読者に届けられる。
古野さんの著書「合鴨(あいがも)ばんざい」や「無限に拡(ひろ)がるアイガモ水稲同時作」は、韓国では翻訳本が出ているが、アジア各国に広く浸透するには、日本語は特殊すぎる。
古野さんは「英語なら、読める人も多いし、それぞれの国語にも翻訳しやすい。アイガモ水稲同時作の利点を、多くの人に理解してもらえる」と期待を膨らませる。
アイガモ農法が世に知られるようになって10年余り。国内では「有機無農薬」、アジア各国では「農薬代・肥料代ゼロ」が評価され、着実に受け入れられつつある。
古野さんの農法も、ドジョウを加えることで、「アイガモによる稲の除草」から「稲作と水産と畜産の同時作」に発展した。「21世紀の農業はアジアから」と古野さんは確信している。
英語本の版元はTagari Publications(http://www.tagari.com)。〈哲〉
《朝日新聞 2001年04月12日より引用》