「クローン人間1、2年で」 米・伊専門家、不妊治療で誕生計画
2001年01月29日
【ワシントン28日=大牟田透】米ケンタッキー大のパノス・ザボス教授(生殖生理学)は二十八日までに、不妊治療を目的に、イタリア人医師と協力して一、二年のうちにクローン人間を誕生させる計画を発表した。これまで新興宗教団体が同様の計画を明らかにしているが、技術的な裏付けをもつ専門家は初めて。日本では六月から施行される法律で禁じられるクローン人間づくりが現実味を帯びてきた。
ザボス教授はケンタッキー大の動物科学部門に所属する傍ら、医師である妻らと不妊治療クリニックと精子検査会社を経営。米国では今のところクローン人間を禁じる法律はない。
米紙ワシントン・ポストなどによると、協力相手は、イタリア人不妊治療医セベリノ・アンティノリ氏をはじめ、数カ国の医師・研究者。アンティノリ氏は閉経後の六十代女性を妊娠させたり、マウスの精巣内で成熟させた人の精子細胞による体外受精をしたりするなど、新しい不妊治療法を試みている。
すでに日本人一組を含む十組のカップルが計画への参加を希望中で、「地中海のある国」で実施したいとしている。無精子症の夫の体細胞から核を取り出して妻の卵子に移植、夫と遺伝的に同一の赤ちゃんを誕生させることが考えられる。
ザボス教授はワシントン・ポストに対し、クローン人間が現実になることは避けられず、十分な技術のある専門家の手で公明正大に行われることが望ましいと語った。また、「我々はだれかの自我を複製するというよりも、不妊を治療しようとしているだけだ。(バスケットボールのスター)マイケル・ジョーダンのクローン人間をつくることに興味はない」と話した。
《朝日新聞 2001年01月29日より引用》