クローンヤギの誕生に成功 国内初、農水省畜産試験場が発表
2000年11月14日
成長したヤギの体細胞からクローンヤギを誕生させることに国内で初めて成功した、と農水省畜産試験場(茨城県茎崎町)が十三日、発表した。この研究を発展させて、薬品の原料になるたんぱく質を乳汁や血液中につくり出す「遺伝子改変クローンヤギ」の開発をめざすという。
生後六カ月の雄ヤギから、成長ホルモンを分泌する「下垂体前葉細胞」をとり出し、遺伝情報をもつ核を除いたヤギの卵子に移植。一週間ほど培養した後、今年六月二十日に仮親のヤギの体内に入れた。
今月十二日に生まれた赤ちゃんは雄で、体重一・四五キロ=写真、同試験場提供。体細胞クローンづくりは羊や牛、豚などで成功し、ヤギも海外で報告例がある。
研究グループは今後、細胞の遺伝子を操作し、成長ホルモンの分泌を抑えたヤギをつくる予定。「将来はさらに改良を加えて、薬の原料になる物質を効率的につくり出すようなクローンヤギを誕生させたい」と話している。
クローンヤギ作りに使った体細胞は,成長ホルモン(GH)を分泌する脳の下垂体前葉細胞。この細胞にGHをつくる働きを抑える遺伝子を組み込んだあと,別のヤギの核を除いた卵子に移植した。胚の状態になってから,雌ヤギの子宮に入れた。生れるヤギの遺伝子は,GH抑制遺伝子を除いて体細胞を採取したヤギのものと同じだ。
《朝日新聞 2000年11月14日より引用》