組み換えトウモロコシ、飼料用3分の2から検出 農水省が調査
2000年11月13日
人に対してアレルギーを引き起こす可能性が指摘され、日本には輸入できない遺伝子組み換えトウモロコシ「スターリンク」について農水省が行った検査で、四-六月に通関した飼料用トウモロコシのサンプルの三分の二からスターリンクの反応が検出されていたことが十三日、明らかになった。同省の検査で混入が確認されたのは初めてで、スターリンクが混入した家畜用飼料が国内で流通していることになる。同省は混入を防ぐため、輸出時検査を米国へ申し入れているが、日米間で詰めの交渉が長期化すれば、飼料の輸入が滞り、価格の上昇などで国内の畜産農家が影響を受ける可能性もある。
農水省は今年度から、輸入飼料に遺伝子組み換え種が占める割合などの調査を始めている。飼料用トウモロコシは四-六月、全国各地に入港した船や倉庫から十五のサンプルを採取。農水省東京肥飼料検査所(埼玉県大宮市)が、固有の塩基配列の有無を調べる方法や試薬による検査で、スターリンクの有無を調べたところ、十検体からスターリンク特有の反応を確認した。
農水省は「検査結果に誤りがないよう、最終的な分析をする必要がある」と、これまで検査結果は公表していない。食用トウモロコシについては、農水省と同じ十月中旬ごろ検査用試薬を入手した厚生省が十八検体の確認調査を数日で終え、今月七日に七検体でスターリンクを検出したと発表している。
日本では、スターリンクを食用としても飼料用としても安全性確認してないため、輸入を認めない形になっている。米国では食用はだめだが、飼料用では承認されている。農水省は飼料用も食用並みに輸出前検査をして、混入を防ぐ手だてを取るよう米政府に求めているが、資金負担などをめぐり最終的な合意には至っていない。日本の商社などが独自に厳密な混入検査をする場合、多額の費用がかかるほか、輸出の遅れも予想され、飼料の価格に跳ね返る恐れがある。
一方で、農水省はスターリンク混入飼料の安全性について独自の調査も始めた。
《朝日新聞 2000年11月13日より引用》