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クローンでヒトの胚研究、英政府が認める法案 秋に審議


2000年08月17日

【ロンドン16日=沢村亙】英国政府は十六日、クローン技術を利用してヒトの胚(はい)から臓器や組織をつくる研究を認める法案を議会に提出することを公表した。秋に再開する議会で審議される。パーキンソン病など難病治療に道をひらくと期待される一方で、クローン人間の創出につながるとして宗教界などから反発が出ている。

認められるのはクローン技術で育成した十四日以内のヒトの胚から移植用の臓器や組織をつくる研究。政府の諮問機関HFEA(ヒトの受精及び胚研究認可局)が許認可、新たに設けられるヒト遺伝子委員会(HGC)の監督を受ける。クローンによるヒトの個体複製の研究は認めない。

研究の対象となる細胞は胚性幹細胞(ES細胞)と呼ばれ、さまざまな組織や臓器に分化する能力を秘めている。同じ人の体細胞の核を利用してつくれば遺伝情報は同じになり、移植しても拒絶反応を起こさない組織や臓器をつくることが可能だと、研究者らの期待が強い。

英国では一九九八年にHFEAがクローン技術によるヒトの胚研究を認める答申を出し、英国政府が法案作りを進めてきた。

こうした研究は日本でも認められる方向。クローン技術の人間への応用について、政府は「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律案」を衆院に提出したが、実質的に審議されないまま廃案になり、法的枠組みはできていない。

同法案は研究対象を胚に限り、子宮への移植を禁じた。クローン人間の創出を防ぐためで、英国の今回の法案と狙いは同じだ。

 

《朝日新聞 2000年08月17日より引用》

 

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