「口蹄疫」獣医師介し拡大? 宮崎で発生農家2軒を往診 【西部】
2000年05月09日
家畜の伝染病「口蹄疫(こうていえき)」の牛が見つかった宮崎県内の畜産農家三戸のうち、二件目の高岡町の農家は、口蹄疫が最初に確認された宮崎市の牛を診察した獣医師が媒介した疑いのあることが八日、わかった。県は感染拡大をおそれて、診療の自粛を獣医師に要請した。感染源とみられる中国産麦わらは二月四日、鹿児島県・志布志港に約四百四十トンが陸揚げされた。農水省は流通経路と納入先の解明を急いでいる。
獣医師は三月十二日、宮崎市西部の農家に往診し、肥育牛一頭を風邪と診断した。ほかの九頭にも鼻のただれ、食欲不振の症状が現れたため、九日後、「口蹄疫の疑いがある」と宮崎家畜保健衛生所に届け出た。
複数の関係者によると、獣医師は三月下旬、西へ約七キロ離れた高岡町の和牛繁殖農家で、雄の子牛三頭に去勢手術を施し、四月三日、この農家の牛九頭が「疑似口蹄疫」と確認された。獣医師はその後、「両方の農家に往診した」と県に申告した。
牛の口蹄疫は感染後、二週間以内に発症するといわれる。疫学調査の結果、高岡町の農家には感染源と考えられるものは見当たらず、二軒の農家をつなぐ線は獣医師以外になかった。県家畜防疫対策本部はこの獣医師が媒介した疑いが濃いとみて一-二週間、診療を休むよう要請した。
農水省門司植物防疫所志布志出張所によると、感染源とみられる中国産麦わら約四百四十トンは中国・天津新港から積み出された。宮崎県内には百トン前後が配送されている。
《朝日新聞 2000年05月09日より引用》