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中国産麦わらが原因か 宮崎の口蹄疫に感染した牛 【西部】


2000年04月04日

宮崎市で見つかった悪性の伝染病口蹄疫(こうていえき)に感染した疑いのある牛は、専門家が「汚染国」とみる中国から輸入された麦わらを飼料として与えられていたことがわかった。宮崎県家畜防疫対策本部の調べでは、中国産麦わらは、輸入粗飼料取扱業者を通して宮崎県内の畜産農家十八戸が購入、牛約二千七百頭がえさとして食べていた。県は感染源かどうか解明するため、牛の血液検査を続けている。

三月末に、口蹄疫ウイルスの抗体が見つかり、処分された宮崎市内の農家の牛は、米国産の牧草、国産の稲わら、中国産の麦わらを飼料として与えられていた。国際獣疫事務局(OIE)は、米国と日本を口蹄疫の「清浄国」としているが、中国は伝染病の月例報告を白紙のまま提出しており、専門家の多くは「汚染国」との見方で一致する。

県によると、感染源の疑いのある中国産麦わらを扱った業者は「二月上旬に鹿児島県の港に陸揚げされ、その後、宮崎県内の契約農家に届けた」と話しているという。県は麦わらが中国のどこで生産され、どんなルートで輸入されたか、特定を急いでいる。また、中国産麦わら以外の可能性もあるため、県は畜産農家約一万五千戸の牛の臨床検査を実施し、因果関係を調べている。

今回の騒動の影響で、県内七市場が三週間閉鎖される。宮崎県小林市の小林地域家畜市場では、子牛二百七十頭の出荷が足止めされ、四月半ばに市場を再開しても、値崩れは避けられない見通しだ。

この市場に和牛を送り込む西諸県郡市畜産販売農協連の斉藤国彰参事は「出荷する肉牛は年間一万頭。一頭当たり五万円下がれば、生活はどうなるのか」と懸念する。

一方、韓国、台湾は日本産の牛肉、豚肉の輸入禁止に踏み切った。

昨年、日本から輸出された牛肉は約七百五十トン、十億円近い。主な輸出先は韓国、中国、香港だ。豚肉も八十トン輸出した。OIEアジア太平洋地域事務所(東京)の小沢義博代表は「格付けが下がると、畜産業界への打撃ははかりしれない」と指摘する。

 

《朝日新聞 2000年04月04日より引用》

 

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