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宮崎で牛に伝染病 「口蹄疫」で10頭処分 周辺市場閉鎖【西部】


2000年03月26日

宮崎県畜産課は二十五日、宮崎市内の肥育農家の和牛が悪性の伝染病、口蹄疫(こうていえき)に感染した疑いがあると発表した。十頭に発熱、食欲不振などの症状が現れ、血清検査の結果、八頭から口蹄疫ウイルスの抗体が見つかったため、すべて殺処分した。感染が確認されれば、国内では一九〇八年以来九十二年ぶりになる。人体への影響はない。

県によると、牛一頭が十二日に発症し、その後、ほかの牛も同じ症状を示した。農水省家畜衛生試験場で調べたところ、口蹄疫ウイルスの抗体が検出された。ウイルス自体は確認されなかったため、県は「疑似患畜」と認定した。

県と農水省は二十五日、口蹄疫防疫対策本部を設置し、家畜伝染病予防法にもとづいて牛を殺処分し、畜舎を消毒した。この農家から半径五十メートル以内の交通を遮断した。

二十五日から三週間、半径五十キロ以内の市町村では、家畜市場を閉鎖し、地域外への牛、豚の輸送を禁止する。また、半径二十キロ以内の十二市町では、牛の埋葬、汚染された稲わらの焼却が済んでから三週間、飼育されている牛、豚の移動を禁止する。圏内は全国有数の肉牛の産地で、「西諸牛」の産地の小林市、「都城牛」を生産する都城市、北諸県郡が含まれる。

○「損失1000万円」 農家に衝撃

口蹄疫とみられる伝染病の発生は、宮崎県内の畜産農家に衝撃を与えた。

北諸県郡内で黒毛和牛八百頭を飼育する肥育農家の男性(四一)は「台湾で流行したので心配していた。三週間閉鎖となると、一千万円程度の損失になる」と話す。  都城市大岩田町の国道10号にはこの日、市が検問所を設置した。二十六日以降は警察官と獣医師が午前八時から午後七時まで詰め、牛、豚、ヤギを積んで鹿児島方面に向かうトラックに引き返すよう指導する。

<口蹄疫> 牛、豚、ヤギ、イノシシといった偶蹄類に感染する。高熱を発してよだれをたらし、口やひづめに水泡ができるのが特徴。致死率は高くない。感染した牛、豚の肉を食べても影響はない。

 

《朝日新聞 2000年03月26日より引用》

 

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