20000216

厚生省、牛肉の安全性を研究 体細胞クローン、ホルモン剤


2000年02月16日

厚生省は、体細胞クローン技術を利用して生産された牛について、食品として安全かどうかを調べる研究を進めている。最近は世界で体細胞クローン技術が開発され、日本でも、第二世代の体細胞クローン牛も生まれた。今後、食品として消費者に提供されることも見込まれることから、厚生省は安全性についての評価が必要と判断した。また、肥育促進の目的でホルモン剤が使用されている米国や豪州などからの輸入牛肉の残留ホルモンの安全性についても研究班を発足させた。いずれも今年度中に、報告書をまとめる。

羊の「ドリー」のように乳腺(にゅうせん)細胞などを移植して、遺伝的に同じ個体を作り出す体細胞クローン技術は、高品質の食肉や牛乳を安定的に生産する家畜生産技術として開発されている。日本でも、すでに全国の畜産試験場などで約六十頭が生産されているが、まだ出荷されていない。

今後は食品として出荷される可能性があるものの、まだ国際的にも統一された指標がないため、安全性の評価を行う。

同じクローン技術でも、分割した受精卵細胞を核移植して遺伝的に同じ家畜を生産する受精卵クローン技術によって生産された牛については、食肉や牛乳の安全性はふつうの牛と変わりないとされている。

また、これまで安全性に問題なしとされていた天然型のホルモン剤についても、昨年五月に欧州連合(EU)科学委員会から発がん性があるなどとする報告書が提出されたことから、ホルモン剤についても安全性の確認をすることにした。

現在、天然型のホルモン剤については、日本国内でも使用が認められており、残留基準はないため、消費者に不安を与えないためにも、日本独自で評価する必要があると判断した。合成型ホルモン剤は、日本国内では使用されていないものの、米国や豪州などでは使用されており、残留基準を定めている。これまでのところ、基準を超えたものはなく、輸入禁止の措置がとられたケースはない。

 

《朝日新聞 2000年02月16日より引用》

 

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