受精卵クローン牛、販売へ 明示して試験的に 農水省
1999年08月14日
農水省は十三日、今月末に食肉処理される受精卵クローン牛を試験的に一般牛と分けて流通させ、クローン牛であることを明示した上で販売することを決めた。クローン牛については今年四月、表示のないまま市場に出回っていたことが表面化して問題となり、同省で流通方法や情報提供のあり方を検討していた。試験販売の結果を見ながら、この十月にも表示や流通の方法を取りまとめる方針。一方、体細胞クローン牛については、厚生省による安全性調査の結果が出るまで肉や生乳の出荷を自粛し、市場には出回らないようにするという。
国内の受精卵クローン牛は、畜産試験場などの研究施設で生産され、現在、百六十四頭が飼育されている。試験販売されるのは、新潟県の畜産研究センターで生まれ、同県の農家で育てられていた黒毛和種とホルスタイン種の交雑種。今月二十七日に食肉処理される予定で、表示して売ることに協力の得られた小売店に限定して売り出す。
受精卵クローン牛の場合、遺伝子操作を行っていないため、DNA鑑定などの科学的な手法で一般牛と区別することはできず、ニセ表示の検証が難しい。また、出荷量がごくわずかで規制になじまないことなどから、同省では表示義務化は難しいと見ている。
さらに同省は、クローン研究機関に対し、生産、出荷などによる飼育頭数を報告するよう求め、結果を毎月、公表することにした。
《朝日新聞 1999年08月14日より引用》