20160316

(ビジネスとTPP)肉牛農家、外食・輸出に活路 商社やメーカーと新会社


2016年03月16日

全国有数の牛肉産地で知られる鹿児島の畜産業者が、商社や食品メーカーなどと組んで外食や輸出を手がける会社をつくる。環太平洋経済連携協定(TPP)で将来は牛肉の輸入関税が下がり、畜産の先行きは厳しいが、事業を広げて産地の基盤を強化する。

新会社名は「ビースマイルプロジェクト」。牛肉を生産・販売するカミチクグループ(鹿児島市)と、官民ファンドの農林漁業成長産業化支援機構、日本政策投資銀行や兼松、プリマハムなどが計約25億円を出資し4月1日に設立する。

カミチクが生産、商社や食品メーカーが流通や輸出のノウハウを持ち寄る。牛肉を出す焼き肉店などを3年以内に100店まで増やす。輸出では1年後をめどに欧米やイスラム圏の基準に対応する施設を南九州に建設し、売り込みを図る。

自前の販路で農家に利益が出る値段で売り、商社と協力して国際価格と比べて高いとされるエサを安く供給する仕組みを整える。

新会社の社長に就くカミチクの上村昌志代表は15日、都内で記者会見し「TPPには基本的に反対だが、取り組みの仕方でチャンスが来る。輸出にも力を入れていきたい」と述べた。

牛肉生産は、後継者不足などで供給が減った子牛の価格が上がり、飼料も高騰している。TPPでは関税が発効16年目までに38・5%から9%に下がる見込みで、輸入品との競争激化も予想される。新会社は賛同する農家と連携を広げ、産地活性化にもつなげる。(柴田秀並)

 

【写真説明】

鹿児島でカミチクグループが肉牛を飼育する畜舎=同社提供

 

《朝日新聞社asahi.com 2016年03月16日より抜粋》

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