牛のゲップ、モーやめて 地球温暖化防止目ざしメタン排出低減を研究
1997年11月28日
農水省・畜産試験場(茨城県茎崎町)で、牛や羊のゲップに含まれるメタンを測定し、それを制御する研究が続けられている。密閉されたガラス張りの小部屋に牛を入れ、排出されたゲップなどを集めて解析し、メタンの量などを測定する=写真。
牛や羊は反芻(はんすう)家畜と呼ばれ、草などの飼料を、胃の中にすむ微生物によって発酵させ、消化吸収する。メタンはその時に胃の中で生成され、ゲップなどで放出される。家畜の中では牛が最大の発生源だという。
「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」などによると、年間のメタン総発生量のうち、家畜が吐き出す量は一六%。メタンは全体の排出量こそ少ないが、二酸化炭素よりも温室効果が強いといわれている。
この研究の中心となる反芻家畜代謝研究室・寺田文典室長ら研究者グループは、飼料の与え方や成分を変えることで、家畜から出るメタンの量を低減させることに成功し、一部で実用段階に入っている。
《朝日新聞社asahi.com 1997年11月28日より抜粋》