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京大チーム マウス研究 卵子形成遺伝子 特定 不妊症 原因解明に光


2020.02.18

京都大のチームは、マウスの生殖細胞から卵子をつくるのに必要な遺伝子を特定したと発表した。同じ遺伝子は人にもあり、将来的には不妊症の原因解明などにつながる可能性がある。論文が米科学誌サイエンス電子版に掲載された。

チームの斎藤通紀(みちのり)教授(細胞生物学)らは、これまでの研究で、卵子や精子になる最も初期段階の「始原生殖細胞」に、ビタミンAと特定のたんぱく質を加えて、卵子のもとになる「卵母細胞」に変化させることに成功していた。しかし、詳しい仕組みは分かっていなかった。

今回の研究では、胎児期のオスとメスのマウスの遺伝子を比べ、卵子をつくるのに必要な遺伝子の候補として、メスの生殖細胞だけで働く8遺伝子を選んだ。様々な細胞に変化するES細胞(胚性幹細胞)に8遺伝子を組み込んで始原生殖細胞を作製し、働きを調べた結果、「ZGLP1」という遺伝子が卵子をつくるのに不可欠だと突き止めた。この遺伝子をなくしたマウスは、卵巣に生殖細胞がない不妊になることも確認した。

斎藤教授は「今後、精子ができるメカニズムも明らかにしたい」と話す。
吉田松生(しょうせい)・基礎生物学研究所教授(発生生物学)の話「哺乳類の生殖細胞から卵子形成の引き金となる因子を初めて明らかにした点は意義深い。卵子ができる過程について詳細に解明する研究が加速するきっかけになるだろう」

《読売新聞 2020/02/18より引用》

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