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大学 令和の新学部 AIや新資格対応 九州・山口 新年度


2020.02.18

九州・山口の大学で2020年度、新学部や新学科が誕生する。人工知能(AI)を使いこなせる人材の育成や、新しい国家資格への対応など将来性が高い分野を強化し、令和時代の高校生にアピールする狙いがある。

長崎大(長崎市)は20年度、現在の工学部情報工学コース(入学定員50人)を改編し、「情報データ科学部」を新設する。AIの活用やビッグデータの解析に精通した人材を育成することが目的で、入学定員は110人。将来的な小中学校教員の減少を見越し、教育学部の定員削減分(60人)を増加枠に充てる。

経済産業省の16年の推計では、国内のIT人材は30年に最大約79万人不足する。同大によると、長崎県では、離島での遠隔診療や、ビッグデータを活用した観光政策の立案に対応する人材の需要が高い。
学部長に就任する西井龍映・情報系新学部創設準備室長は「AIやビッグデータは社会のあり方を劇的に変える。これらを活用できる人材の育成は急務だ」と語る。

鹿児島大(鹿児島市)も新年度から工学部の学科を再編し、膨大なデータから市場予測などをする「データサイエンス」分野の科目を必修化する。

一方で、宇部フロンティア大(山口県宇部市)は20年度、心理学部を新設する。18年から試験が始まった新国家資格・公認心理師の資格試験に対応することが目的だが、高田晃・新学部長は「いじめに関わった子どもの心のケアなどはAIには対応できない。職業として今後も残っていく」と語る。

九州保健福祉大(宮崎県延岡市)も4月から臨床心理学部を新設する。

◆人気 時代で変化
大手予備校・河合塾が昨年8月に実施した全国模試で、2020年度に入学する受験生の志望動向を分析したところ、IT分野での人材の需要の高まりを受けて、文系、理系ともに「情報・通信系」は前年比で1〜2割増加した。公認心理師が国家資格となった「心理系」も前年を上回った。

学部や学科の人気は、社会情勢に左右されてきた。河合塾によると、リーマンショック(2008年)が起きた翌年の入試からは、理系や資格を取得できる学部の人気が上昇。景気の回復傾向を受け、15年度入試からは再び文系学部の人気が高まった。九州営業チームの中村雅人チーフは「社会の方向性に沿った新設学部や学科は、受験生の人気を集めやすい」と話す。

◇2020年度に改組する九州・山口の主な大学

長崎大 情報データ科学部を新設
鹿児島大 工学部を再編し、データサイエンス分野の科目を必修化
宇部フロンティア大 心理学部を新設
西南学院大 外国語学部を新設
九州大 芸術工学部を5学科から1学科5コースに変更。分野を超えた履修や学生の交流を可能に

写真=西南学院大外国語学部の入試に臨む受験生ら(5日、福岡市の西南学院大で)

 

《読売新聞 2020/02/18より引用》

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