農畜産品、加工・販売も支援 地銀など出資、飲食店にも 【西部】
2015年03月03日
農林漁業や畜産業など1次産業が、生産だけでなく加工や販売にも取り組む「6次産業化」に向けて、銀行が金融面から支援する動きが広がってきた。地場の産品を使った飲食店へ出資するケースもあり、生産者の所得向上につながるとの期待も出ている。
西日本シティ銀行は2日、「6次化」支援のため国の関連団体とともにつくったファンドを通じて、飲食業を営む2社に出資すると発表した。同ファンドは1次産品の生産や加工を行う会社へ出資したことはあるが、飲食業への出資は初めてだ。
1件は、鶏卵や鶏肉を生産するタケノファームと、居酒屋などを経営するタケノ(ともに福岡市)が今年1月に設立した「タケノフードサービス」。鶏すきなどを提供する「鶏鮮竹乃屋」を福岡市中央区で3月23日にオープンする予定で、ファンドが同社へ7千万円を出資する。
もう1件は、馬肉の生産と加工を行うフジチクと、牛肉を生産するフジ・ファーム(ともに熊本県菊陽町)が共同出資した「ファームクリエイト」。同町で焼き肉店を10月に開く予定で、ファンドが4200万円を出資する。ファンドの出資は累計で6件、出資額は計3億8200万円になった。
九州では他の地方銀行も同様のファンドをつくって、1次産品を扱う会社に出資している。肥後銀行(熊本市)は健康食品や化粧品の原料を製造する会社など計3社へ約1億8千万円、鹿児島銀行が1社に1千万円、宮崎銀行が1社に4671万円をそれぞれ出資した。経営統合する肥後銀と鹿銀は、こうした出資を通じて地元の1次産品のアジアへの輸出を後押しする考えだ。
(角田要)
【写真説明】
西日本シティ銀行の農業応援ファンドが出資する飲食店「鶏鮮竹乃屋」=福岡市中央区
《朝日新聞社asahi.com 2015年3月3日より抜粋》