20140218

TPP、牛・豚肉が焦点 甘利担当相「カード切る」 日米、きょうから実務者協議


2014年02月18日

日本が「聖域」と位置づける農産品5項目の輸入関税率

日本が「聖域」と位置づける農産品5項目の輸入関税率

環太平洋経済連携協定(TPP)交渉をめぐる日米協議について、甘利明TPP相は17日の記者会見で「明日からお互いにカードを何枚か切るだろう」と明言した。具体的には言及しなかったが、農産品の重要5項目の中でも、特に米国側が輸出を増やしたい牛肉・豚肉の関税引き下げや撤廃が焦点となりそうだ。

「586品目を一品残らず守るのは難しいと、多くの人が認識しているだろう」。日米の実務者が18日から東京で関税問題の協議に入るのを前に、甘利氏は17日、取材にこう言い切った。「586」とは、日本が「聖域」と位置づけ、関税維持をめざす農産品5項目の品目数だ。米国は全ての品目の関税撤廃を求めており、一定の歩み寄りはやむを得ないとの見方が日本政府内に出ている。

だが、日本政府が譲歩するには大きな壁が立ちふさがる。昨年4月の衆参農林水産委員会決議だ。コメや牛肉・豚肉などの重要5項目は「段階的な関税撤廃も認めない」としている。

米国が日本への輸出を増やしたいのは何か。5項目のうち、2012年の日本への輸出額の上位10位以内には、豚肉(1642億円)、小麦(910億円)、牛肉(670億円)の三つが入る。

小麦は国内消費量の約9割を政府が関税ゼロで購入しており、これ以上増やすことは難しい。豚肉と牛肉の関税撤廃をテコに輸出増を狙う米国と、国内の畜産業を保護したい日本が正面からぶつかる構図だ。

ただ、国会決議には586品目全て守るとは書いてない。精米や小麦粉、精肉、チーズといった代表的食品は、決議を破ったと有権者が受け止める可能性があるため、関税撤廃まで踏み込まないとみられるが、関税引き下げや一定量の低関税輸入枠の設定が検討される可能性がある。一方、異なる食材をまぜてつくる調製品や加工品は関税撤廃の検討対象になる可能性もある。

シンガポールでは17日から参加各国の首席交渉官による会合が5日間の日程で始まった。日本からは鶴岡公二首席交渉官が出席。20を超す交渉分野を総ざらいし、22日から始まる閣僚会合に向け、難航する争点を中心に論点を絞り込む。米国には、日本の関税交渉がまとまらなくても、大半の分野でほぼ合意にこぎ着けたいとの思惑もある。米国と各国の交渉が、閣僚会合の開催時にどこまで進展するかも今後の焦点となる。

 

《朝日新聞社asahi.com 2014年2月18日より引用》

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