重要品目の4割、輸入なし TPP、多くは国がブロック
2013年12月19日05時00分
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉で、政府が「聖域」とするコメなど重要5項目の586品目のうち、最近の輸入実績がない品目が4割にあたる234にのぼることが18日、わかった。234品目のうち、政府が輸入するかどうかを決める「国家貿易品目」が半分程度。農業や食品産業を守るために政府が他国からの輸入をとめていた。
同日の参議院農林水産委員会で政府が示した。みんなの党の山田太郎議員の質問に答えた。
内訳は2010年度の実績で、コメが22品目、麦が58品目、乳製品が106品目、牛肉が12品目、豚肉が13品目、砂糖が23品目。
朝日新聞の調べでは、234品目のうち、国家貿易品目となっているのは少なくとも約110。コメ、麦、乳製品が多い。国家貿易は、国内産業や農家を守るため、国の判断で輸入するかどうかを決め、ほぼ独占的に行われる貿易だ。
例えば小麦粉。政府管理の低関税枠があるのに輸入はゼロ。製粉産業を守るのが目的だ。安い小麦粉を輸入すると製粉業が打撃を受けるため、政府が小麦を輸入している。コメの中で「もみ」や「米菓生地」も輸入がゼロだ。日本のコメの消費に影響があるためだ。「国家貿易で、事実上政府が輸入をブロックしているのが実態」(政府関係者)という。
国家貿易品目ではないが輸入がゼロのものもある。牛肉・豚肉の枝肉は、骨や脂の部分が多すぎて、輸入しても採算が合わないからだ。(古谷祐伸、編集委員・小山田研慈)
■国がほぼ独占的に輸入の権限を持つが、輸入実績がゼロの主な農産品
コメ…もみ米、ペレット状のコメ、米菓生地
麦…小麦粉、大麦粉
乳製品…脂肪分1.5%以下の加糖脱脂粉乳、農畜産業振興機構が輸入する脂肪分85%超のバター
(2009~11年の貿易統計から)
《朝日新聞社asahi.com 2013年12月19日より引用》