20130802

短角牛、丸ごと利用 地域に体制づくり 再興向け、十和田で協議会設立 /青森県


2013年08月02日

上北地方を中心に飼育されている肉牛「短角牛」の地産地消拡大を狙う「あおもり短角牛地産地消推進協議会」がこのほど、十和田市内で設立された。かつては県内で1万3千頭以上も飼育されていたが、現在は1千頭以下に。再興のカギとなるのは「地域内丸ごと利用」だ。

協議会には、畜産や加工、流通、飲食店や行政、学識経験者など約30人が参加した。飼育から食肉処理、加工、販売、消費までの各部門が連携し、1頭の牛を余すことなく地域内で利用する体制づくりを話し合った。今後、イベントを通じてのPRや需要の少ない部位を使った料理レシピの確立と普及、取扱店の拡充などを目指す。

短角牛は、江戸時代に南部藩の鉱山荷役で活躍した「南部牛」をルーツに持つ。県は「北東北の風土に根ざした独自種で全国的にも希少種」とする。

肉牛としては、脂肪が少なく、赤身の「うまみ」が濃いのが特徴。生産においても放牧場の草利用だけで丈夫な子牛を育てることが出来るため、「穀物飼料の世界的高騰の影響も受けにくい。穀物肥育牛に比べ抗がん・抗肥満作用があるとされる『共役リノール酸』が多いというデータもあり、健康的な牛肉だ」と県上北地域県民局畜産課。

しかし、市場でのランク付けは霜降りの度合いが基準となるため、短角牛のランクは低く、肝心の「うまみ」の評価までたどり着いていないのが現状だ。

加えて、ステーキや焼き肉以外の料理法が知られていない。サーロインやリブロースなどの人気部位を除いた残りを加工に回すにしても、元々の生産量が少ないことから一定量の確保が難しく、使い勝手も悪い。

こんな需要と供給のアンバランスを受ける形で、流通も「1頭セット買い」が基本となっており、ますます需要が伸びなくなっている、と県は分析している。同局の小鹿一治畜産推進監は「短角牛はヘルシーであり、文化的にも上北地区とは深い関係にある。地域で丸ごと利用の仕組みを作り、地産地消を広げていきたい」と話している。(鵜沼照都)

【写真説明】 (上)短角牛を使った料理例。左の皿が「ナガイモとインゲンの短角巻き」「短角牛の塩糀サラダ」。右は「短角めし」

(下)料理を試食する地産地消推進協議会の参加者たち=十和田市南公民館

《朝日新聞社asahi.com 2013年8月2日より引用》

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