TPPによる農家の減収補填 農水・自民、共済拡充を検討
2013年03月23日
環太平洋経済連携協定(TPP)に日本が参加した場合に備え、農林水産省や自民党が、打撃を受けた農家の収入を補填(ほてん)する仕組みを検討していることがわかった。2016~17年度をめどに政府と農家が積み立てている「農業共済」を拡充するなどして、収入が減った分を補う制度をつくる。▼7面=TPPの影響額
農業共済は政府と農家がお金を出し合い、災害や病害虫などの被害にあった時に収入を補填する「保険」のような仕組みだ。コメや畜産、果樹などを対象にして、年間1千億円ほどを支払っている。
ただ、収穫が減った時しか使えないため、農水省は「農産物の価格が下がって収入が減った時にも対応できるようにする」(幹部)という。3~4年後に新制度につくり直す方向だ。
農業共済のほかに、政府などがお金を出し、コメや麦、大豆、テンサイなどの農家の収入減を補う制度が二つある。これらも農業共済と統合し、収入減を補う仕組みを充実させる。
自民党はまた、今の経営所得安定対策(旧戸別所得補償制度)を14年度から「日本型直接支払制度」に変え、農家の収入を助ける方針だ。新しい制度は幅広い作物を対象にして、農家が農地を維持していれば一定のお金を配る。年間5千億円ほどを予定している。
TPPは輸入品にかける「関税」をなくすことが原則で、高い関税がかかる農作物は輸入品に押されて打撃を受ける。一部で関税が認められる可能性もあるが、TPP交渉次第だ。このため、直接支払制度と収入減の補填制度という2段構えの支援策を検討することにした。(小山田研慈)
《朝日新聞社asahi.com 2013年03月23日より引用》