乳牛の受精卵で復興支援 北海道内の酪農家ら、宮城県へ
2012年07月08日00時41分
東日本大震災で飼育していた乳牛の多くを失った宮城県農業高校(名取市)のために、北海道内の酪農家が乳牛の受精卵を無償で提供することになった。提供される受精卵は、飼育再開時のために保存される予定だ。
同校では、飼育していた乳牛など牛34頭のうち、20頭が津波に流された。校舎が壊滅的な被害を受けたことなどから、助かった牛は他の高校や県の畜産施設が飼育している。
こうした中、酪農学園大(江別市)の高橋茂教授が同高校出身の学生から、母校の窮状の説明とともに、受精卵の提供が受けられないか相談を受けた。高橋教授が北海道ホルスタイン改良協議会会長で酪農家の小椋茂敏さん=上士幌町=に声をかけ、小椋さんが道内酪農家に呼びかけたところ、5軒ほどの酪農家から手が挙がっているという。
受精卵の価格は1個5万~20万円ほどするというが、すでに10個ほど集まった。30個を目標に、人工授精事業を行っている業界団体「ジェネティクス北海道」(札幌市)の協力で無償で8月にも同高校に届ける予定だ。
小椋さんは「生徒さんたち若い人たちへの期待も込めた取り組みです」。同高校の柳渕拓伸(やなぎぶち・ひろのぶ)教諭は「北海道の非常にいい牛の受精卵の提供を受けることができ、大変ありがたい。有意義に使わせていただきたい」と話している。
《朝日新聞社asahi.com 2012年07月08日より引用》