20120509

警戒区域の豚、生殖機能異常なし 東大調査


2012年05月09日03時00分

東京電力福島第一原発から約17キロの警戒区域にある福島県南相馬市の養豚場で、事故後約110日間を過ごした繁殖用の豚の生殖機能を調べたところ、卵巣や精巣への影響はみられず、子豚も正常に生まれることが東京大の研究でわかった。原発事故による家畜の生殖機能への影響がわかったのは初めて。

農学生命科学研究科の眞鍋昇教授らは昨年6月下旬、警戒区域内に取り残された雄10匹、雌16匹の繁殖用の豚を茨城県内の東大牧場に運んで様子を調べた。3匹はストレスなどが原因で直後に死亡。死んだ豚の臓器のセシウム濃度は、検出限界値以下だった。

残り23匹の精巣や卵巣の形状や、精子の数や動き、血中ホルモン濃度などを調べたが、異常はみられなかった。今年1月末以降、5月8日までに計51匹の子豚を出産。1匹だけ足の開きが通常より大きい奇形があったが、通常の奇形発生率と変わらないという。

養豚場周辺の事故直後の放射線量は毎時1マイクロシーベルト前後で、土壌は1キロあたり100万ベクレルを超えた。警戒区域内に3万匹がいたとみられるが、ほとんどが餓死するか殺処分された。

眞部さんは「もう少し長期の調査が必要だが、汚染度が高い地域で過ごしても、家畜への影響はほとんどないのではないか」という。繁殖用の豚を養豚場に戻せるよう交配もしており「福島県の畜産業をどう復興させるか考えるべきだ」と話す。(岡崎明子)
《朝日新聞社asahi.com 2012年05月09日より引用》

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