20111207

おおいた烏骨鶏の卵人気 生はもちろん加工品も新名物 県、品種改良重ね開発/大分県


2011年12月07日

県が品種改良を重ねて生み出した県外不出の鶏「おおいた烏骨鶏(うこっけい)」の卵が人気だ。不老不死の食材と言われ、漢方薬として珍重されてきた烏骨鶏は、肉だけでなく卵も濃厚ながら爽やかな味わいが評判。生卵はもちろん、別府の地獄で蒸したり、シュークリームやプリンなどに加工したりし、大分の新名物として県外にも知られつつある。

おおいた烏骨鶏の卵は、スーパーの高級食材コーナーや一部の農協直売所で売られているほか、加工品の菓子も大分自動車道の別府湾サービスエリアなどで売られている。同サービスエリアでは、休日には女性客が烏骨鶏の卵を使ったシュークリームなどをいくつも買い求める姿が見られる。

県外にも熱烈なファンがいる。大分空港で烏骨鶏の卵を初めて買った東京都世田谷区の会社員吉本舞さん(30)は「卵かけご飯にして食べたが、衝撃的なおいしさだった。それ以来、友達に頼んで送ってもらっている」と絶賛する。

烏骨鶏は謎の多い鳥だ。江戸時代初期に中国から日本に伝わったとされるが、普通の鶏と外見が大きく異なる。相違点は▽骨、皮、肉がそれぞれカラスのように黒い▽脚に毛が生えている▽あごひげがある▽耳が緑色▽頭に冠状の毛がある▽とさかがクルミ状▽糸状の毛▽足の指が他の鶏より一本多い、の10カ所で、「烏骨鶏十則」と言われている。

卵は他の鶏に比べて小さいが、白身に対し黄身の割合が高いため濃厚に感じられる。普通の鶏卵の重さが60グラム前後なのに対し、烏骨鶏の卵は40グラム程度。だが黄身の割合は33%と普通の鶏卵より6ポイントほど多い。

卵は人気が高いが、烏骨鶏は年間に50~80個ほどしか卵を産まないという難点があり、かつては希少なため1個が500円前後もした。県農林水産研究指導センター畜産研究部は、2000年から7年間かけて品種改良に取り組み、年間に180個も卵を産む「おおいた烏骨鶏」の開発に成功した。大分の名物にしたい県は県外での飼育を禁じている。

開発に携わった阿南加治男・主幹研究員は「1羽1羽、どのくらい卵を産むか記録し続けた。他県からも烏骨鶏を取り寄せて近親交配を避けるなどの苦労があった」と振り返る。

県内では現在、約20人が約千~1500羽を飼うまでになった。人気が高まってきたことから更に飼育数を増やす考えを持つ畜産家もいるという。

飼育試験の当初から烏骨鶏に携わり、現在も150羽を育てている日出町議の工藤健次さん(59)は「とにかく烏骨鶏の卵の味の良さを一人でも多くの人に知ってもらうことが大事だ」と、法被やのぼりを持ってPRに走り回っている。

卵を産まなくなった烏骨鶏の肉の用途も課題だ。現在は品質の高いスープの材料などに使われているが、工藤さんは「肉も高級食材だ。色々な国々の料理方法も研究して、大分の名物に育てていきたい」と夢を膨らませている。(神崎卓征)

【写真説明】

1羽ずつ丁寧に飼育されている烏骨鶏を手にする工藤さん=日出町真那井

おおいた烏骨鶏のつがい。左がオス=県提供
《朝日新聞社asahi.com 2011年12月07日より引用》

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