20111007

県、偽装認定を断念 ニワトリをシャモロックとして販売 国「違法扱い困難」/青森県


2011年10月07日

七戸町の養鶏場が普通のニワトリをブランド地鶏の青森シャモロックや比内地鶏として販売していた問題で、県は6日、養鶏場を日本農林規格(JAS)法に基づく「偽装」として処分することを断念した、と発表した。国に相談し、違法扱いは難しいとされたためだ。県は養鶏場に対する同日付の措置で、偽装と別の産地表示義務違反について、表示の徹底を指導するにとどめた。

県の定義では、青森シャモロックとは指定施設で横斑シャモと横斑プリマスロックを交配して生まれた子で、指定農場で育てたニワトリのこと。1990年に県が開発し、養鶏業界とブランド化を進めてきた。

県の調査の結果、養鶏場は過去に入手した青森シャモロック同士を交配させ、その子孫を「シャモロック」と表示して販売していた。県の定義では青森シャモロックとは言えないニワトリだ。養鶏場は同様に、秋田県の比内地鶏の子孫を「比内地鶏」として販売していたことも確認された。

県は、養鶏場をJAS法で禁じられた偽装として処分することを検討。JAS法を所管する消費者庁に相談したが、「違反として措置することは難しい」と回答されたという。

消費者庁の担当課は、県の「シャモロック同士の子はシャモロックではない」という定義が社会的に認知されていなければ、偽装と認定できない、と説明する。社会的認知の条件は、それが一般常識になっているか、法に基づく文書で規定されることだという。

●「自分たちでは限界」

普通のニワトリを「青森シャモロック」、「比内地鶏」と偽って出荷していた養鶏業者を、「偽装」ではJAS法違反に問えない――。県の判断に、生産者に戸惑いが広がった。

「法に基づいて厳しく対処しなければ、真面目にやっている生産者だけがバカを見る」。青森シャモロック生産者協会の母良田(ほろた)昭会長は語気を強める。

同協会はこれまで、県とともに指定農場制を作り、飼育期間やエサの統一など、青森シャモロックの飼育条件を厳しく設定してきた。県総合販売戦略課の津島正春課長は「業者や県が力を合わせ、長年かけてようやく作り上げたブランド」と話す。

比内地鶏を生産・出荷する秋田県も、偽装防止に力を注いでいる。同県は比内地鶏の孵化(ふか)から販売までを6段階に分け、それぞれに業者を登録させた。同県畜産振興課の担当者は「完成されたシステム」と自信を見せる。ただ、「悪意を持って偽装されたら、防ぎようがない部分もある」。

今回、消費者庁が七戸町の養鶏業者をJAS法違反に問えないとの見解を示したことについて、津島課長は「県が法よりも厳しい基準を設けて、ブランドを作り上げていくしかない」と話す。県は出荷した肉に「農場指定通知書」の添付を義務づけるなどの対策を講じるという。

それでも、母良田さんは不安を隠せない。「結局、法はブランドを守ってくれないということなんだべか。自分たちだけでやるには、限界がある」。地鶏ブランドを守るための試行錯誤が続いている。

《朝日新聞社asahi.com 2011年10月07日より引用》

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です