汚染稲わら、どう管理 福島産牛、出荷再開へ調整大詰め
2011年08月13日15時4分
福島県の牛の出荷停止の解除をめぐり、福島県と政府との調整が大詰めを迎えている。放射性セシウムに汚染された稲わらは国の指針がないこともあり大半の畜産農家の手元に残ったまま。解除に向け汚染稲わらの管理をどう徹底するかが最後の課題となっている。
県の6日までの緊急立ち入り調査では、東京電力福島第一原発の事故後に収納した汚染稲わらを使用していた畜産農家は約140戸あった。
農林水産省は7月28日、高濃度に汚染された稲わらをシートで覆い、近づかないよう指導。畜産農家が被曝(ひばく)するのを防ぐためだ。しかし、これまで1キロあたり69万ベクレルと極めて高い値の稲わらが見つかり、最終処分のめどがたたないことなどから、汚染稲わらの管理・処分方法について指針を示していない。行き場のない汚染稲わらは、ほとんどの農家に残っているという。
牛の出荷停止の指示を受けてから1カ月近く。福島県は解除の条件となっている牛の管理計画を農水省や厚生労働省と相談しながら作成中だ。全頭・全戸検査の計画などはほぼ完成したが汚染稲わらの管理についてはまだ固まっていない。
菅政権は、解除条件として「汚染された稲わらを与えていないかを定期的に全戸チェックする」など飼育管理の徹底を挙げた。
このため、厚労省は、農家の手元ではなく、地元の農協や自治体など第三者の管理下に汚染稲わらを置くよう求めている。同省幹部は「汚染牛問題は汚染稲わらが原因であり、それを食べさせないという保証がない限り、出荷停止の解除に応じられない」という。
福島県の計画では、定期的な立ち入りでチェックする方針だ。計画作りに協力してきた農水省は「シートで覆って区別し、きれいなえさと保管場所を分けるくらいが現実的ではないか」(担当課)と話す。同省は汚染わらがあった農家にきれいなわらを提供する施策も始めた。また、県は汚染わらが見つかった農家は全頭検査の対象にする考えで、同省は万が一食べさせて汚染した牛がいたとしても流通しないとしている。
汚染稲わらの管理について合意できれば、来週中にも出荷停止が解除される見通しだ。(沢伸也、井上恵一朗)
《朝日新聞社asahi.com 2011年08月13日より引用》