汚染牛肉、国が買い上げ焼却処分へ 不安の解消図る
2011年07月22日1時14分
肉牛にえさとして与えられる稲わらが放射性セシウムに汚染されていた問題で、農林水産省は21日、牛を解体した後の検査で肉から国の基準値(1キロあたり500ベクレル)を超えるセシウムが検出された場合は、その牛の肉を国で買い上げて焼却処分する方針を明らかにした。流通しないようにすることで消費者に安心してもらうのが目的だと説明している。
筒井信隆農水副大臣がこの日の記者会見で考えを示した。東京電力福島第一原発の事故で汚染された食品は野菜や魚介類など多品目にわたるが、国が直接、被害を補償するのは初めて。
牛肉の汚染をめぐる今回の問題は8日、福島県南相馬市の畜産農家から出荷された牛の肉が汚染されていたことがわかって表面化。事故後に集めた汚染わらを食べさせたことが原因だったため、他にも汚染された牛がいないかどうかの調査が続いている。朝日新聞社の21日現在のまとめでは、汚染わらを与えた牛を出荷した農家の存在が確認されたのは10県で、出荷頭数は約1400頭に上る。
この影響で牛肉への信頼がゆらぎ、価格も一時暴落するなどしたことから農水省は速やかな対策が必要と判断した。筒井副大臣は「基準値を超えたものが一切市場に出回らない形で消費者に安心感をもってもらうことが必要」と述べた。
同省の説明によると、解体されて枝肉となった状態で実施される検査の際に基準値を超えれば、その牛1頭分の肉をすべて買って焼却処分する。検査は抽出で、実施する数は各自治体の判断によるという。
また、8日の発覚以降に出荷・流通した牛肉で、回収後に基準値を超えたことが確認されたものも対象とする。発覚後の調査では、これまでに計29頭の牛肉の汚染が確認されている。
《朝日新聞社asahi.com 2011年07月22日より引用》